繊細な心の機微を紡ぐ物語が好きな方へ





2021年3月11日
表紙で敬遠しなくて良かった、6巻という数の多さで読むのを躊躇わなくて良かった、やはり漫画はいい、そう思えた久々の傑作でした。同居の家族関係こそ複雑で、ドラマ性もあるものの、基本は日々の暮らしの中、恋心や友情、家族という人間関係のみに焦点を絞って、日常を描いた物語。こうした一見地味なテーマで淡々とした語り口、となれば巻数を重ねる程だれてしまいがちだけれど、くぎ付けになって真夜中に全巻読み切りました。表面上はほとんど騒ぎ立てない各登場人物の、内なる繊細な心の機微が手に取るようにわかる演出は秀逸で、そこはかとなく確実に存在する哀しみと、それを凌駕する強い愛情に随時胸が締め付けられました。主要な登場人物たち以外にも、モブになりがちなキャラの視点からの章も設けてあります。「恋を知って弱くなる人、強くなる人がいる」とは劇中の樋口の気づきですが、想いに真っ直ぐ突き進める人も、耐え忍ぶ人も、諦める人も、愛に気づけない人も、異なる性格の全ての登場人物に読者が心を寄せられるような構成も見事。唯一の願いは、樋口とコウの続編スピンオフを是非!という、それだけです。
因みに、本作のような年の差BLの心の機微を扱う話が好きな方に、ダヨオ先生のYoung Bad Educationシリーズも未読であれば是非オススメしたいです。
因みに、本作のような年の差BLの心の機微を扱う話が好きな方に、ダヨオ先生のYoung Bad Educationシリーズも未読であれば是非オススメしたいです。

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