さよならシンデレラ
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さよならシンデレラ

バーバラ・ウォレス/小倉つくし

シンデレラになれなかったヒロイン

ネタバレ
2021年3月15日
このレビューはネタバレを含みます▼ 期間限定読み放題。
不仲な両親を見て育ったため成功体験の少ないシングルマザーなヒロイン。人生失敗続きで、自分も母と同じように不幸な人生を送るのではと不安を抱える日々を送っていた。
ある日妄想癖のあった母の死後、資産家男性から母に宛てた熱烈なラブレターの束を発見する。母の妄想が真実ならばこの資産家が実の父なのでは?と思ったヒロインは、弁護士ヒーローに資産家男性とのDNA鑑定を依頼する。
一方、ヒーローは、弁護士な父の言うがまま自身の夢は捨て弁護士となり事務所まで構えたものの、依頼人が来ず、お金も底をつきかけ事務所を畳む寸前に追い込まれていた。そこへやってきたヒロインの依頼を成功報酬目当てで受けるのだが…。
失敗続きどん底生活のヒロインと、見た目は成功者その実落伍者間近なヒーロー。形は違えど、どちらも親の影に振り回されてきた二人。依頼を通じて互いの主張をぶつけ合ったり、共に過ごすうちに、自分自身が本当に求めていること、自分にとって何が大切かに気づいていき、親の呪縛を乗り越えて強い自分に変身していく様子を描いたお話。
大筋はそんな感じだが、キャラクターの成長を描くのを意識しすぎたのか、ヒロインはなんでそんなに失敗するの?というぐらいアホっぽい人生送ってきたっぽいし、ヒーローはヒーローで自分の成功優先と途中まで良いところが少なくて人として惹かれるところがあまりなかった。
それでも最後に二人とも意識改革を為して、良い方向の自分らしさを掴み取ることができたのはよかった。
ヒロインは地位も金も名誉も愛も手に入れるようなシンデレラにはなれなかったけれど、強い心とベストパートナーはゲットできてこれからは自力で幸せになれそう。
残念だったのはヒロイン実父のくだりかなあ。夢も希望もないオチでしょんぼり。ある意味タイトルに準じてはいるけど。そのあたりでもうちょっと何かあったら、もっとスッキリ読後感になったかも。あと、冷静に考えると最後のシーン、ヒーローもヒロインも無職? 子連れだし、そこまでフォローするエピソードかあとがきがあると、もっとよかったかな。
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