双亡亭壊すべし
」のレビュー

双亡亭壊すべし

藤田和日郎

深く惹き込まれる

2021年3月17日
爆弾や重機を用いても壊せない、巨大な屋敷〈双亡亭〉。その中に犇めく秘密、秘密、秘密…それらが少しずつ紐解かれていく様子。最新の第22巻においても、〈双亡亭〉の謎はまだまだ奥深くに続いています。
それに伴い、主人公のタコハや青一たちの闘いが益々苛烈になりゆく様子。ダイナミックな筆遣いと繊細な描き込みで、時にクスッと笑える描写を挟みながら、緩急つけて描かれています。話を追うごとに、彼らと〈双亡亭〉との闘いから目が離せなくなります。

これはありふれたホラーではありません。サスペンス、アクション、ヒューマンドラマといった性格を併せ持っています。加えて随所に歴史や芸術のモチーフが散りばめられており、深く〈双亡亭〉の世界に魅了されます。

絵柄が旧く、描き込みが細かすぎて読みづらい。そのためにこの漫画を敬遠してしまったというレビューがちらほら。
しかし、最初は馴染みづらかったその絵柄も、〈双亡亭〉に潜むある秘密を知ると、物語にぴったりとハマって見えるようになります。
読みづらいところはパッと読み飛ばしてしまっても良いでしょう。信じて、まずは貪欲にストーリーを追ってみてください…。そのうちに、貴方の中にも強い想いが渦巻いていることに気づくでしょう。「双亡亭壊すべし」と。

長文大変失礼致しました。このレビューが、貴方がこの作品に巡り会うきっかけとなれば幸いです。
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