このレビューはネタバレを含みます▼
初めて読んだ木下先生の作品が「17」です。久し振りに読み返してみて、最初に読んだときよりも、2人の気持ちに寄り添えた気がします。
あの夜、ユキ君を部屋に上げてしまった先生。ユキが待っていた戸惑いとか、津田を帰らせることになった苛立ちとか、単に外で話したくないことだったとか、お酒も入っていたし、多分、先生はちょっと冷静さを欠いていて、そこまで深く考えてなかったんだろうなと思いました。ただ、2人にとって、タイミングが良くなかったのは間違いなくて、辛い出来事となってしまったことは、読み手としても辛い。人は過ちを犯してしまうことがあって、どんなに後悔しても取り返しはつかなくて、その重い事実と向き合おうとする17歳のユキ君は、とても痛々しいです。そして、傷つけてしまった先生を諦められない気持ちも相まって、苦しさが増します。距離を置こうとするユキと思わず呼び止めてしまう先生。2人とも怖いですよね。もう、相手を傷つけたくないですから。そんなお互いの気持ちの変遷が、3巻かけてじっくりと描かれています。フォローさんが書かれている、キスの変化も本当に見所ですね。エゴと純粋さは、ともすると表裏一体だなと思いましたが、私は、初恋に懸けたユキ君の気持ちが好きでした。そして、それと相反するように描かれた先生や津田のズルさもリアルに感じました。相手の気持ちを利用することになったとしても、無意識に寂しさを紛らわせようとしたり、安心したいと思ったりすることは、責めることはできず…。きれいごとだけでなく、簡単には割り切れない人の気持ちを追随することができたのも良かったです。何度読み返しても響くものがあります。あと、2・3巻の番外編とオマケが可愛くて、好き。幸せそうな2人がうれしいです。