あたしを甲子園につれていってね





2021年3月21日
バブル期に有名になったスキーの映画タイトルではなく、それよりも何年も前の、この高校野球物のヒロインの台詞。甲子園を男子だけの場にしないラブ要素詰まった青春の爽やかな汗の話。全7巻。6巻迄は「釣りバカ日誌」も作られた、やまさき十三氏の名が原作者にある。最終巻のみ表記が無い。
後に、タッチなど、少年誌で大ブレイクされたあだち充先生が、週刊少女コミック誌に描かれた時期の中短編集で、殆ど野球の話、ごく一部、2作品が八百長ボクシング、1作品が剣道の話。
母と子の生活がどちらかというと少女漫画界に多いと思っているが、この少女誌でのあだち先生作品集は父子家庭が多いのも特徴。作者が男性のあだち充先生だから、と思いきや、どうしてどうして女の子の心情描写に違和感は無い。さすがヒット作品を産み出せる腕鮮やか。「(好きな男の子の勇姿を)見のがさずにいたいのだ。だから涙よ邪魔するな」など、どこか普遍的な、思う人のことを見ていたい主人公の気持ちが刺さってくる。1977年頃の作品で細やかな心情描写が、甘酸っぱいという形容詞がやっぱり似合う。後に少年誌に戻り大ブレイクされるのは、この少女誌時代のご経験が大いに生きたものと思われる。
少女漫画志向の強かった私は、先生の画風なら自然と受け入れることができた。
懐かしみのあるシーン多い。深夜放送のセイヤングなど、リアルで聴いていた私は、この時代背景に真っ直ぐ入り込めるが、数十年の男女観の変遷を経てきた今、これを新しく読む人はどう受け止めるだろう、と思う。
硬球の快音が、青空に響き渡るような、カラッとした前向きな話なので、私はのびのびとしたおおらかさも感じるのだが。
ラブ要素多めで少女向けなのに、女子間のネチネチじめじめがない、サッパリサバサバであるのも良いところ。
きっと先生はロマンチストで、それでこういう作品をその画風で、「青春」の語の似合うものに仕立てたのではと思ってしまう。
新型コロナで昨年は大方の大会と同様に、予選含めて、甲子園で全国大会が行われる高校野球も中止となった。NHK朝ドラ「エール」で、古関裕而作曲「栄冠は君に輝く」を聴いた時、甲子園を目指す高校球児の落胆と涙とを、改めて連想した。時々に紹介されるノンフィクションの力はやはり強いが、でも、創作物である甲子園題材の野球漫画だって、この全7巻を読めば、私は青春期の熱中を感じ取れて胸がギュッと来るのだ。
後に、タッチなど、少年誌で大ブレイクされたあだち充先生が、週刊少女コミック誌に描かれた時期の中短編集で、殆ど野球の話、ごく一部、2作品が八百長ボクシング、1作品が剣道の話。
母と子の生活がどちらかというと少女漫画界に多いと思っているが、この少女誌でのあだち先生作品集は父子家庭が多いのも特徴。作者が男性のあだち充先生だから、と思いきや、どうしてどうして女の子の心情描写に違和感は無い。さすがヒット作品を産み出せる腕鮮やか。「(好きな男の子の勇姿を)見のがさずにいたいのだ。だから涙よ邪魔するな」など、どこか普遍的な、思う人のことを見ていたい主人公の気持ちが刺さってくる。1977年頃の作品で細やかな心情描写が、甘酸っぱいという形容詞がやっぱり似合う。後に少年誌に戻り大ブレイクされるのは、この少女誌時代のご経験が大いに生きたものと思われる。
少女漫画志向の強かった私は、先生の画風なら自然と受け入れることができた。
懐かしみのあるシーン多い。深夜放送のセイヤングなど、リアルで聴いていた私は、この時代背景に真っ直ぐ入り込めるが、数十年の男女観の変遷を経てきた今、これを新しく読む人はどう受け止めるだろう、と思う。
硬球の快音が、青空に響き渡るような、カラッとした前向きな話なので、私はのびのびとしたおおらかさも感じるのだが。
ラブ要素多めで少女向けなのに、女子間のネチネチじめじめがない、サッパリサバサバであるのも良いところ。
きっと先生はロマンチストで、それでこういう作品をその画風で、「青春」の語の似合うものに仕立てたのではと思ってしまう。
新型コロナで昨年は大方の大会と同様に、予選含めて、甲子園で全国大会が行われる高校野球も中止となった。NHK朝ドラ「エール」で、古関裕而作曲「栄冠は君に輝く」を聴いた時、甲子園を目指す高校球児の落胆と涙とを、改めて連想した。時々に紹介されるノンフィクションの力はやはり強いが、でも、創作物である甲子園題材の野球漫画だって、この全7巻を読めば、私は青春期の熱中を感じ取れて胸がギュッと来るのだ。

いいねしたユーザ3人
-
みう さん
(-/-) 総レビュー数:207件
-
romance2 さん
(女性/60代~) 総レビュー数:1852件
-
MW さん
(女性/-) 総レビュー数:3176件