このレビューはネタバレを含みます▼
作者様買いです。靴川先生の作品はわりとシュールな印象ですが、この作品は温かい。子育てBLはいつも、何を読んでも大泣きしてしまいます。だってみんな一生懸命で、健気なんですよね。
シングルファーザーの野々村と息子空くん。二年前に奥さんを脳梗塞で亡くし、親子二人暮らしです。仕事と育児の両立でいっぱいいっぱいの野々村。残業もせず、遊びにもいかない。何を置いても空くん優先の毎日。これでは心のゆとりも余裕もない。空くんのために口うるさく叱る事が、果たして良いのか…そんな時に知り合った片岡はゲイ。この片岡が下心抜きにしても優しいんです。ほんとに優しくて、空に対しても同じ目線になって物事を見るので手の差しのべ方が違うんです。一生懸命に頑張ってる野々村にしてみたら、自分を責めて、奥さんが亡くなった事でも自分を責める。あまりにも一人で背負い過ぎてしまって壊れそう…頼る人がいない事も一つなんだけど…だけどね、子供って見てるんですよね、ちゃんと。パパが笑わなくなった事に気づいているって…あんな小さな子供がパパを心配しているんです。もぉ、涙腺崩壊。ダメだ、胸が痛い。頼ったっていいじゃん。吐き出してもいいじゃん。パパは空くんのヒーローだもの。カッコいいパパだから。頼ってくれたら片岡も嬉しいだろうし、きっと優しく手を差しのべてくれるはず。
肩の力を抜いて深呼吸しましょう。そして、空くんと向き合って、お話しましょう。一緒に手をつないで歩きましょう。時間を忘れて遊びましょう。きっと空くんは大喜びのはず。だってパパが大好きだもんね♪子供の辛さを気づかせてくれたのは、誰でもない片岡。片岡は、野々村と空くんにとってヒーローキャットです。いつも側で見守ってくれるから、たまには『パパをお休み』しましょう。たまには片岡と手をつないでデートしましょ♪子育てに何が正解なんてわからない。手探りで三人で暮らしたら、きっとずっと毎日が楽しいはず。頼って頼られて、甘えて甘えられて、ずっと笑っていられたらいいですね。幸せになって欲しいと、心から願います。