美しき女戦士
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美しき女戦士

スーザン・スペンサー・ポール/津谷さとみ

肉体的ではなく精神的に女戦士なヒロイン

ネタバレ
2021年3月29日
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15世紀イギリス。頼りない父亡きあと14の年からずっと女城主として務めてきたヒロイン。ある日、王の命令で騎士ヒーローに城主としての地位を明け渡しヒーローと結婚するよう命が下る。結婚すれば、地位も権利も全ては夫に奪われる。どころかもっとひどい立場に追いやられる可能性もあり、ヒーローからの使者を拒絶するヒロイン。ヒーロー側は業を煮やして武力行使で城を制圧。ヒロインも策を巡らし抵抗するが、最終的にヒロインは使用人らのために結婚を受け入れることに。
正直最初の方、命令拒絶するヒロインもアレだとは思うけど、ヒーローの態度がひどい。武力制圧に、人質で脅迫。明らかな形ではないけど、ちょっとヒロインに暴力っぽいところもあって微妙。初対面ののちにふたりきりで話せばもうちょっと違う道もあったのではと思わなくもない。調べたらヒーローには姉もいるっぽいのに妻になろうかと言う女性の扱いが雑すぎない?
一応ヒーローが城にこだわる理由は出てきて、かなりの辛酸をなめてきた境遇だったのは描写されるのだが、それを受けても本気で取り戻して、更にヒロインを妻に据えたいと思っているなら脅迫だけはダメだろうと思う。
それでも結婚後二人がだんだん惹かれていく描写は良かったし、ヒーローがヒロインの従兄を元婚約者と勘違いして思い悩むところとか、ヒロインを愛するようになった結果思いがけない行動に走るのは面白かった。
それに対してのヒロインの行動も、タイトルの勇ましさに見あった行動でよかった。最後はコミカル要素も入って和やかハッピーエンド。政略結婚にしてはよいカップルになりそう。
途中でヒーロー姉に触れたが、原作者の作品は人物が少しずつリンクしているもよう。今作との密接な関連作は2作。ヒーロー姉がヒロインを務める「花嫁泥棒」。今作にも登場したヒロインの従兄がヒーローを務める「花嫁は謎に満ちて」。後者はシーモアだと配信していないもよう。残念。
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