あの世でお前に好きだと言える【単行本版(特典付き)】
つきづきよし
絶望の淵から這い上がれば、怖いものはない
ネタバレ
このレビューはネタバレを含みます▼
初読み作家様です。臨時?クーポンを頂いて、前から気になってたタイトルのこの作品を選びました。
一体どういう事だろう?亡くなった人の思いが残る?などと思いながらの冒頭…えっ?と言葉を失いました。生きる意味を失くした国巳の自死。目覚めた時、29才の彼の姿は高校生だった…
ずっと、ん?って思いながらストーリーの構成を考えてみたけれど、これは素直に、主人公たちの感情だけ追った方がわかりやすい気がしました。高校生の姿に戻った29才の国巳の記憶は、当時のままだけど、一柳に対する感情や記憶だけが抜け落ちて…
走れなくなった国巳。活躍を一身に集める一柳。どうしようもない辛さと劣等感にさいなまれ、墜ちた人生をあきらめた結果の冒頭。一柳から逃げた事がいつまでも悔やまれたのではないでしょうか。絶望でしかなかった国巳には、一柳が遠くに感じ忘れるしかなかった。辛い事だけど、それ以上に忘れる事が出来なかった気がします。後悔を取り戻すために、逃げてしまった高校生の頃に戻りたかったのかなって。そんな気がしました。ずっと国巳を思っていた一柳も、辛かったでしょうね。だけど会える日を待ってたんですよね。なんて純愛。なんて深い愛。涙が止まりません。死ななくて良かった。絶望から這い上がった者は強い。きっともう後ろは振り返らずに、前を向いて真っ直ぐ歩いて行けると思います。そうであって欲しいです。一柳と共にね。
はぁ~、良かったぁぁ。幸せになって欲しい!
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