憂鬱なハネムーン
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憂鬱なハネムーン

ケイト・ハーディ/吉田弥生

自己保身優先で、腹黒なヒーロー

ネタバレ
2021年3月30日
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5歳差の幼馴染で、13歳の時にヒーローに恋してると気づいたヒロインだが、ヒーローの方は妹の友人で趣味の合う幼馴染ぐらいにしか思っていないと恋心を封印したヒロイン。
それから12年の時が流れて、ヒロインはヒーロー以外の男性と結婚し、二度の流産ののち離婚を経験。ヒーローは考古学者としてTVでも活躍し、ヒロインの離婚後は休日になるとヒロインのもとを訪れ、言いたいことを言い合える親友のような関係を築いていた。
そんなある日、ヒーローからどうしても取りたい仕事で、結婚し安定した男と見せる必要があるからと、突然プロポーズされる。それもヒロインとなら情熱的な愛ではなく、穏やかな好意を抱いて尊重した関係を築けるからと。ヒーローに変わらず恋心を抱いていたヒロインは信頼関係だけの男女としての愛のないプロポーズを断るが、ヒーローのしつこい手の込んだプロポーズに屈服。ひと月ほどの婚約者を演じることにするが、ヒーローが不用意に家族にこぼした言葉がきっかけで本当に結婚することになってしまう。
やたら評判よくて読んでみたが、読んでる間ずっとヒーローを殴りたくてしょうがなかった。まともな家庭で育って、ヒロインが傷ついてるのがわかって励ます配慮もできて、情熱的な恋愛感情を抱いたことも、それなりの恋愛経験もあるのに、情熱的な愛はないけど親友として好きだからで押し通そうとするヒーローにイライラ。最後のタネあかしでますますイラついた。結局自己保身しつつ外堀埋めてヒロイン確保したって話だよね。休みごとにヒロイン宅に押しかけてたのも男近づけさせないためだったんじゃないの、これ。久しぶりに真の腹黒を見た気がする。
人妻に弄ばれて、ヒロインが他の男と結婚したことがショックだったから仕方なかったとでも言いたいんだろうか。ヒロインが流産した時の言い回しも傷抉る感じでこれまたムカついたし、終始ムカつくヒーローだった。大体人妻に傷ついても好みを長らく引きずってたのは確かっぽいしな。気づくのノロすぎ。友人的感情といいつつセッ クスした後も友人的好意で押し通してたところとか、善人ぶってるぶん余計勘に触った。
ヒロインもなあなあで済ますあたり、結局似たり寄ったり、破れ鍋に綴じ蓋でいいんじゃないの。
考古学知識くだりは面白かったし、流産の原因の病気をまた一つ知れたのと、背景や小道具の描き込みはよかった。
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