このレビューはネタバレを含みます▼
一気に小説(巻戻しから約1年後の大波乱のエピソード辺り)まで読んでしまいました。
コミックは現在最新巻の16巻まで読みました。
ヒロインの父親は容姿端麗・有能な男。その能力を買われて公爵家に婿入りし、ヒロインの母親は彼を溺愛してヒロインを身籠ります。が、その溺愛は異常な執着となり、父親はその束縛から逃げ出し家を出て、妾宅へ。母親は心病みまくり、最愛の夫と瓜二つに生まれたヒロインを夫の身代わりとして愛し育てますが、年々女として成長していくヒロインを受け入れられず、病の床に臥し、命を失います。すると今度は父親が妾と異母妹を連れて家に戻ります。父親は異母妹を溺愛し、ヒロインを邪険にし、虐げます。
誰にも愛されずにもがきながら育ったヒロインは、救いを求めて白馬の「王子様」に恋をし、そしてその王子様も異母妹に奪われて心を病み、「あなたさえいなければ」と異母妹の殺人未遂を起こして投獄されます。死の淵にやり直しを願ったところ、タイムリープして、黒歴史をやり直すという物語です。
父親もある意味被害者かもしれませんが、ヒロインの扱いは余りに酷くて心が痛みます。2度目であるヒロインは受け身をとるかのようにして、心の傷を多少和らげてはいますが…。異母妹は純真無垢・天真爛漫で万人が「善」と認める少女ですが、「無知」もまた罪なのだと、彼女のエピソードは訴えてくるようです。彼女に対して激しい憎悪と殺意を抱いた1度目を反省したヒロインは、2度目は彼女を憎まずに済むようにと距離を置こうとしますが、却って彼女から慕われるというジレンマに。また、1度目にあれほど嫌われていた王子様も、2度目ではヒロインに明らかな好意を寄せます。そんな中、最新話(16巻)では新キャラであるロゼットとの出逢いで終わっています。
小説はとても暗く、心情の深い部分まで描写されていて、なかなか重たい作品です。コミックの方は大切な所は残しつつもテイストをコミカルにし、エピソードも変えているため、とても読みやすいです。コミック化するにあたり、物語をより盛り上げるためなのか、一部登場人物の意識に若干違いがあるように感じましたが、これはこれで面白いと思います。
物語の鍵を握る、ヤンデレ黒王子の幼馴染がこの先どう動くか、とても楽しみです。