正欲
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正欲

朝井リョウ

どうしたらいいんだろう

ネタバレ
2021年4月5日
このレビューはネタバレを含みます▼ 朝井リョウさんの作品は、いつも自分の視野の狭さを実感させる。そして、自分が登場人物の1人だったらどうしていただろうと考えさせられる。
どうして同じ異性を何十年も性の対象として見続けることをおかしいと思わないのか、と問われた時どう答えるだろう。自分の息子が力では絶対に勝てない大人に性的に見られたのだと知ったら(例え勘違いであったとしても)あの人と同じようなことを言ってしまうのだろうか。考え出すとすごく怖い。小説を読んでいる時には主人公たちに共感していて、こういう性の対象もあるのだと理解者になったような気がしていた。しかし、本を閉じるとわからなくなる。それが怖かった。
あっという間に読んであっという間に心の奥底を押し開けていった作品。すばらしい。
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