このレビューはネタバレを含みます▼
コミカライズ→Web版→小説版の順で読みました。
Web版と小説版は展開が大きく違っていて、自分は小説版が好きです。
Web版のヒーローはまさに「歪み病みまくった人物」ですが、その分ストーリー的には唐突感が否めない。
一方、小説版では主人公の与り知らぬところでヒーローに外堀を埋められていく過程が丁寧に描かれています。
ヒーローが主人公を手に入れるための計画性と実行力、自分だけで決めた期限やルールを振りかざす傲慢さ、病んだ本質を隠し通す自制心、彼自身が持つ孤独と主人公への渇望、それらを主人公の前で一気に曝け出す狂気が脅威をもって描かれ、彼の病み度の高さを窺わせます。
Web版の番外編では、ヒーローに振り回されるばかりだった主人公が心を沿わせていく様子や、彼女の活発さや聡明さが発揮されるエピソードも描かれているので、小説版としてもぜひ読みたいです。2人がいなくなった後の学園、特にイザドラのその後が知りたい。
それと、これは感想ではないのですが、モアレのせいで挿絵の繊細さが失われているのが惜しいです。電子書籍化に当たっての作業は出版社側が行うものだと推察しますが、挿絵にも気を配ってもらいたかった。この点はとても残念に思います。