確か、短編集だったよね?、と不思議な感覚





70年7月から71年5月までの間に発表されたものが集められているらしい。71年2月の「雪の日に」は、「サンルームにて」が「別コミ」誌上の商業的実験としてまずまずだったから、頁数少なめに「週コミ」に出てきた、という気がする。70年代はSFジャンルは多かった。「タムタム&べべ」は、その後の「地球(テラ)へ」の先遣隊に見える。「地球へ」はもう筋を忘れてしまった。かつて読んでいたのに。
当時は漫画全体、絵がこんな感じだった、という時代性ありあり。その環境で、挑戦的というか、クリエイターとして先駆的であろうとした意欲作なのだろうと想像する。「サンルームにて」には耽美の萌芽あり、登場人物の吹き出しの外に、ポエムのようなモノローグのようなナレーションのような手法で、ひとつの俯瞰で物語を伝えている。
このような、読者層を探るかの形で、一種のマーケティングがなされて、そして、こんにちのBL爛熟があるのかなぁと、不思議な感覚。感慨?、いや私はこれを知らずして過ごし、特に世界に入り浸らなかったし、寧ろ山岸凉子先生の歴史物に傾倒したからなぁー。
西洋を舞台とする作品の多い時代とはいっても、竹宮先生はその後センセーショナルな作品を発表して、反響からその作品が大成長を遂げるのも、この系譜にどっぷりだったということなんだなぁと、感じる。
今さら初めの一歩を見に来た好奇心は満たされた。
人に勧めようとか、なんか打たれたとか、楽しかったとか、そういうのとは違う、ぶらり読みに来てしまった感。過激な訳でもなく、オブラートにくるまれた閉鎖的な世界を、その入り口からチラリ覗いた趣。
作品集は時系列的。それも意義ありかと思うが、先生の初期の少年愛物と、SF物とが同じ一冊に綴じてあることに、妙な符合を見た思いもする。
ただ、大変に申し訳ないが私には、3.5から3.9位の感覚だ。

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