きっと私はあなたに会いに来た、のだと確信





第1巻表題作と共に収録された2作品も全て人外物ばかり。「竜宮ファンタスティカ」の方は、実はある身分でありながらというところ、「氷結キスメット」の方は、女の子が男の子を連れ帰る使命を持っているところ、ストレンジドラゴンに通ずる要素あり。 少女漫画にありがちなみそっかす(?)設定も。
つくづく漫画は想像力を絵に出来る、素敵な才能の持ち主の作品披露の場なんだろうと思う。表題作はその名の通り龍の話。龍を描く、それだけでもう感服。石原先生も創作意欲がお高いのだろう。奇しくも最近読んだ「皿の上の彼女」(田中メカ先生-「ぼくと獲物の夏休み」に収録)から龍が続く。そろそろ「水に棲む花」(篠原千絵先生)を再読の時なのか。
戦うシーンは少し緩いような、なんとなく雑な線が混ざって見えて、力のぶつかり合いの衝撃を逸らしたように感じる。
それにしても、どうも「氷結キスメット」が世に出た後、「ロッカメルト」(藤間麗)が出来たように感じてしまう。
(さてここから完読後)
乱れた治世の間に、国境の辺境の地へのサイルーン国の求心力は著しく低下していた。悪政に苦しんだ民は憎しみも抱いていた。2巻目は、次期女王となるヒロイン火花の、彼ら民からの女王信認を得るストーリー。
火花と出会う迄100年の孤独に耐えた赤龍、将来300年を越える孤独をどうするか、それと、一族に疎まれた赤龍、彼らへの感情をどうするか、が3巻目のストーリー。未解決だった龍族と王家の確執も一応の決着を見る。
戦いや積年の感情のしこりはそれほど占めておらず、ラブのプロセスに付き合いながら、二人のハピエンに辿り着く迄見守るパターン。軽い波乱はある。龍の内ゲバと、メイン二人の悶々。どのエピソードも徹底した重苦しさは皆無。独り身の登場人物達もエンディングではお相手を見つけており、3巻物の限界はある。一旦完結させた話を読者の良い反応を受けてから次巻制作することの難しさも想像させられる。
このお話は龍を動かすことから、空から地上を見下ろす視点や、空中を飛ぶシーンに、空間スケールの広がりを感じさせて、そこがまず見た目の魅力だろう。龍の姿には、読み手としては紙面(画面)で横への動きも入ってきて、縦に横にとダイナミック。
但し龍の特性について、少しストーリーへの取り込みは弱かったかと思う。

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