真夜中のオルフェ
」のレビュー

真夜中のオルフェ

ビリー・バリバリー

どこまでも優しく美しい世界

ネタバレ
2021年4月25日
このレビューはネタバレを含みます▼ 自身も過去にトラウマが多々あり、20年来に及ぶとても頑固な不眠症ですので、強く惹かれるものがありました。
ストーリーに重きを置いている作品が読みたくて、とてもきれいな雰囲気だったので迷わず購入しました。


シリアスですが、重くなくストーリーが本当に綺麗で、とても優しい。
一紫が和深だけの持つ声により救われていく様子にとても心がじんわりしました。
過去の悲しみ苦しみ孤独感に今まで文字通り閉じ込められていて、父親も同様で、愛していた分まで辛く苦しまないとと義務を感じていた、その二人の夢がそれぞれ繋がっているとわかるところは切なさを感じました。
感動しながら終盤に向けて読み進めるうち、気づけば涙が溢れていました。

声で救われて人としても惹かれ好きになっていく過程が描写が細やかで丁寧に描かれていてとても好きです。
30を過ぎて精神的な幼さを強く残して幼児性が高い一紫がとても愛らしくてたまらないし、その一紫を愛しく思い、深く優しく包み込んで甘やかす和深も好き。
2人が美しくて、関係性も素敵で。
全編通して読んでいて気持ちが辛くなるところがなく、どこまでも優しくて美しい世界なのが救われた気持ちになりました。


しっかりとしたストーリー且つとても綺麗なお話で、私の好み、求めていたものドンピシャでした。
折に触れ何度も読み返すことになる作品になるでしょう。
私にとって大切な一冊となりました。
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