枯れない花
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枯れない花

京山あつき

攻めの性癖

ネタバレ
2021年4月26日
このレビューはネタバレを含みます▼ 聞こえない声、見えない星、この枯れない花で完結。通して読んだが、こちらでレビュー。高校球児のノスタルジックな雰囲気が漂う作品。見えない星で、攻めの今井のセリフにハンカチ王子が出てくるので、平成の設定だと思うが、それより前の時代設定に思えた。小柄な受けの引田は練習後に残って、ひっそりボール磨きをやるまじめなところがあり、普通にしていても怒ってる表情に見える不器用なコ。一方、野球部で活躍する攻めの今井は飄々としていてスリムな男前。その今井が引田に惚れ込んで溺愛している。隙を見ては、暗くなった野球部の部室で持て余した熱を引田にぶつけるようなキスをする。最初は驚いていた引田も男であることに葛藤しながら、今井に惚れていく。惚れてる、って言葉は、パワーワード。ふたりに合う。引田は最後の夏を野球に打ち込むため、今井と距離を取る。今井は引田の連絡をただ待つ。引田が思うように、今井は引田をかわいい女のコのように思っていたと感じていたが、引田のいじらしさや健気さを花のように思っていた。美人な受けとかっこいい攻めがデフォルトのBL作品では異色の受けだった。容姿の冴えない引田を溺愛する、色気のある男前の今井が性欲を持て余す姿にとても萌えた。甲子園予選の決勝前夜の校庭でのシーンや引田がオカダさんの絵のモデルになったエピソードに絡めて、引田の葛藤や今井の執着を描いたシーンは印象的だった。BLを読み始めた頃、夢中で読んだ懐かしい作品。紙の本では巻末でネームが楽しめた。4.1
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