願い叶えたまえ
」のレビュー

願い叶えたまえ

西田東

ヒリヒリ痺れるストーリー

ネタバレ
2021年4月26日
このレビューはネタバレを含みます▼ フォローしている方が以前レビューをあげてあって、いつか読みたいと思っていた作品。今回ドーンとセールだったのでついに購入しましたー。
そんなに上手じゃないけどバーでピアノ演奏をしている祐介には気になる客がいます。それがヤクザの深見。祐介の深見に対する想いは募るけど、深見はゲイを毛嫌いしているノンケです。切ない、ツラい展開だけど、祐介はひたすらに想い続けるんですよ。不思議な果物や新種のキノコを見つけた時はニヤっとしてしまいましたが、ストーリーの主流はずっとヒリヒリした空気感なんです。どこか壊れていると言われている深見だけど、祐介や工藤さん、有島にまで結局愛されている存在なんですよね。ラストが明確に示されなかったけど、これが西田先生的で読者に考える余地を残すというか、余韻になるんでしょうね。読者それぞれが違った印象、解釈を持つのだと思いますが、私的にはハッピーエンドだったと思っています。空港で子どもにぶつかって、殺すという使命の記憶が断片的に甦ったけれど、その時携帯が鳴って「誰も死なない感じ」の着メロが深見の殺すという気持ちを思い止まらせたんだと解釈しました。工藤さんの願いが、想いが叶えられますように、とただただ祈るばかりです。そんな工藤さんの後日談があるのなら、そちらも是非読んでみたいです。レビューで出てきていた「バナナフィッシュ」、当時全巻購入したけどラストのショックが強すぎて、それを自己消化できなくて、未だ読み返しができません。それでも名作だから、いつかまた読み返せたらなあと思っています。
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