クラスで一番可愛い子
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クラスで一番可愛い子

山中ヒコ

短編集、ちょっと物足りない

2021年5月2日
表題作の整形を繰り返す女の子の話を読みたくて購入。正直、とても短く、読み足りなかった。整形を繰り返したのは彼女の狂気「推しに認知されたい」、「推しと付き合いたい」が原動力だと思っていたのだけど、一回寝たあとに無理に繋いだ関係だからこそ綻びが生じるのは致し方ないが、そこで引いてしまうのは、あまりに狂気が足りない。彼女の狂気の行く末を見届けようと購入したのに、肩透かしだった。結末の、彼女が得たもの失ったものを考えるのだけど、推しが一切関係してないので狂気が死んでる。そんなすぐ沈静化するもの?いやしないだろ…と読んでてすっきりしないままもう2つの短編を読んだけど、どれもシチュエーションの面白さはあるが、短編の主人公は誰かと関わって変化するでもなく、ドラマがない。散文じみたテーマはあるけど主体がないので読んでて困惑する話が続いた。作者の放ったボールは、読者の手元ではなく空へと放たれ、その放物線のうつくしさを眺めるような作品ばかりで、ボールの落下地点へ走っていける読者へ向けた短編集だった
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