汚部屋そだちの東大生
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汚部屋そだちの東大生

ハミ山クリニカ

期待していた分ガッカリ

2021年5月5日
汚部屋&毒親育ちの女の子が東大生になりやがて自立するまでを描いた自伝的な漫画です。が、いかんせん内容が薄すぎ。1巻660円で130ページという強気な値段設定ですが、絵もストーリーも1320円分の内容ではないです。受験勉強も「空調設備のない家で、丸めた布団を机がわりにやってました」以外のことは何も書いてないし、大学生活もさらっとだし。どう逆境をはねのけて(あるいは親に支配されて)受験競争を戦ったのか、そこにどんなマインドがあったのかは一切触れていなくてがっかりしました。このタイトルで東大ならではのエピソードが描かれてないのはちょっと卑怯な印象です。「汚部屋そだちの東大生」ではなく、例えば「汚部屋そだちの大学生」というタイトルでもまったく問題ないですね。
それから、調べたら作者のハミ山さんは毒親育ちであることを取材などで公表されていますが、高校卒業→東京藝大中退→東大卒業という華々しい経歴とのこと。藝大を辞めたのも「生物学をモチーフにした作品を作りたいと思い、東大で学ぼうと思ったから」という能動的な理由からだったようですし、東大時代も「漁船や狩猟や野宿」だったりとそこそこ自由に楽しんでいたようです。もちろん「自伝漫画です」と謳っているわけではないので問題ないのですが、この作品の「ゆうちゃん」から受ける印象とは大分違うように思えました。(もちろん、ご本人が家庭環境にめげず努力したことを否定するわけではまったくなく。)
少し脱線してしまいましたが、やはりタイトルから連想される内容ではなかったことが期待外れでした。
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