ジュリアが首ったけ
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ジュリアが首ったけ

扇ゆずは

想い合うふたりにこれでもかという幸せを

ネタバレ
2021年5月6日
このレビューはネタバレを含みます▼ 感情移入しすぎて辛い。記憶喪失以降、少しずつ少しずつ、ジュリアの居ない世界で生きることに慣れようとするみきおとそれを導く仙台が、あまりに丁寧に描かれすぎていて本当に2年の年月を感じました。どん底に落ちては少し浮上し、またジュリアを存在を感じては落ちる。じわりじわりとこんなにも愛していたと思い知らされ、まるで自分も誰を失ったかのように心に穴が空きました。ジュリアの、どうせ自分の片想いだ。それでもいい。でも願うならばみきおにも同じだけ苦しんで欲しい。綺麗なだけじゃない愛を知って欲しいという想いが伝わりすぎて、あの棺桶のシーンは涙が止まりませんでした。そしてみきおの、神様にジュリアにつり合う愛を試されているのか、と夢から覚めるシーンも対比のようでどうしようもなく泣きました。ジュリアが死という形を取ってまでみきおからの愛を欲しがったのが記憶喪失という形になって表れたのだと思いますが、まさかジュリアがみきおを忘れたまま2年以上も経つとは。記憶が無くても無意識レベルにみきおを探すジュリアと、そんなジュリアを忘れたくとも日々あちこちで思い出させられ苦しむみきお、もうこれ以上の愛がこの世に存在しますか。丁寧に丁寧に作り上げた仙台との日々も本物ですが、ジュリアとみきおは離れては生きられないのだと思います。辛い日々で苦しみ抜いて愛を知った分、ふたりにこれ以上無い幸せが訪れるのをずっと待ってます。ジュリアの華が凄く目立ちますが、記憶喪失後は特にみきおの人間性が際立ちました。文句なしの良い奴。
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