このレビューはネタバレを含みます▼
発達障害を題材にしたエッセイには興味を惹かれて良く読む。これも、読みやすく分かりやすかった。
本人の苦しみが周りに理解されないことで更に生きづらくなって苦しんでいることが分かったし、思っている以上に多くの人がその苦しみを抱えているだろうことも分かった。
理解して、そっとしておく人や寄り添う人が適度に周りにいることで救われるのだろうということも分かった。
ただ、いつも疑問に思うことが2つある。
一つは、理解が足りない「(著者が表すところの)普通の」人々や世の中を絶対悪のように描くのはいかがなものか、ということ。
発達障害の人が少数派である以上、その特性を持つ人を中心に世界が回ることはない。大小のストレスに耐えて社会に適応している多数派の人達が、社会を支えていることも事実。エッセイの著者たちも、そのサービスや恩恵を受けて生活しているはず。「普通」を押し付けるな!と声高に言うことは自由だし、理解を求める必要な行為かもしれないが、その「普通」を受け入れてレールに沿って生産活動を行う沢山の人々によって世界もあなたの生活も成り立っているのだから、真っ向から「普通」という概念を否定するのもどうだろう?と思ってしまう。
もう一つは、子供を持つという選択。
偏見だというのは承知の上で、どうしても思ってしまう。
この人が母になるのか…子供やパートナーは大変だろうな、と。
特性も十人十色なら、定型発達でも子供に酷いことする人もいるし、もし子供にも似た特性が出た場合は共感して理解してあげられる良い母親になるのかもしれない。
でも、出産・育児・教育は、自分の予測の範囲や自分のペースで物事が進まないことが大半。
普通に生活していたらありえないレベルのホルモン変化により二次障害のうつやパニックが酷い症状で現れる確率も高いはずで…
自分の親がもしそうだったらかなり辛いな、と思うし
自分がそうだったら子供たちをまともに育てられたか自信がない。
2つ目の疑問については、答えが無いのかも。どの本を読んでも疑問がグルグル回るけれど、、
サービスや仕組みが上手いこと出来上がって、発達障害の人の出産・育児をせめてお金で解決できるようになったら良いのだろうな、と思う。