ハレとモノノケ
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ハレとモノノケ

大好きです

ネタバレ
2021年5月9日
このレビューはネタバレを含みます▼ 良かったぁ。すご~く素敵なお話でした!大好きです。ずっと気になっていた作品で、ちょっと前の半額セールに飛び付きました。
不思議な空気感にまとわれながら、さらにその穏やかな世界観に引き込まれて行きました。
高校生で一人暮らしの八潮。出会った今風の青年は、なんと不老不死のモノノケと言う……
この二人の会話がすごく軽妙で、テンポが良くて楽しいんです。言葉のチョイスがいいのかな。まさしく『言の葉』が大切にされています。だから穏やかで優しい印象のする会話が、とても心地いいんです。
モノノケであるトキオは、人間味が強く親しみ易い。八潮が一人でいる孤独感を埋めてくれているようです。二人で立つキッチンの風景が、温かくてすごく好きなんです。
八潮がケガレ(気枯れ)ていると言ったトキオ。何気ない日常を送る気が枯れている、という事らしいのですが、一人で食べる食事よりも、二人で食べる食事が美味しいように、トキオの存在自体が八潮の気枯れを払っているのでしょうね。
二人の間にだんだん生まれて来た信頼感や絆が、とても丁寧に描かれています。その距離感がとても好き。それがいつしか、恋という感情に変わり…
それはとても自然で、優しい愛の誕生です。
八潮を見守り続けて来たミツの寂しさが、切なかったけど、ミツも八潮にとって大切な存在。これからもそばにいてあげて欲しいな…ミツも幸せになって欲しい。
フォロー様のレビューで、肌を重ねる事が「ハレ」なのだと知りました。ほぉ~、なるほど。貴重な情報が嬉しいですね。ありがとうございます。
二人の寿命が違えども、これから先、死が二人を分かつまで、寄り添って幸せ噛みしめながら末長く暮らして欲しいと思います。
はぁ、読後感が温かい。素敵な素敵な物語です。
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