友だちの話
」のレビュー

友だちの話

山川あいじ/河原和音

自分のイヤなところをいいねと思ってくれる

2021年5月9日
まさに「友だちの話」。初めて読んだ8、9年位前はコトを難しくさせる「もえ」と「英子」の友情が、どうも恋路より濃すぎて、読みにくいと感じていた。
時を経て今読むと、両者が個々に発揮してる利他の関係性にホロッと来る。
同時収録の、「その彼、調べます」もなかなか。
ユニークな展開を感じて、さすが、だ。N女高校のバス停名とバス会社名にクスリ。

絵の好みがわかれると思う。
私は、自分の好みでないとの理由で評価を下げることはしない為、高校生の男子二人、女子二人、この極端に作られた状況のもとで、読めない行動をとっていたのを面白がれた。服装の雰囲気やクラスの感じがよく出ていた。
友情メインの話であることは認識しているが、二人がおのおのでお邪魔虫してしまう場面が、見ているこっちが居たたまれなさを感じる。その強調が、多分この作品の味であり、強いインパクトを意識的に与えてくる。そして、だからこそ、もえさんの、英子さんへの友情の背後にある、英子さんに出会えた巡り合わせの喜び、それを第一番に大切にする強烈なこだわり、とが、読んでてグッと感動させられる。100人告白してくる男の子より、本当に大事にしたい友だち一人の貴重さ、これは描き方の勝利。迫力ある説得力で気圧される。
TVドラマ「相棒」の水谷豊氏とそのバディ氏お二人の顔の絵にもクスリ。

友情重視であっても、お邪魔虫頁比重が強すぎた。構成としてやるにしても、ストーリーの持っていき方がやや、そこ、しつこい。けれど、もえと英子の思いはそれはそれは厚い友情。鳴神くんと土田くんもいい間柄で、余計、土田くんが脇に追われて気になるまま最後迄読んでしまい、盛大な置いてけぼり感。ここの評価無関係で、鳴神くんのいやがらせは、理由はどうあれ、彼がどれだけ後日埋め合わせ努力しても、英子さんと違って私は許さないけど。土田くんはそういうことしないキャラですからね、やっぱりもえさんに開眼してもらいたい気分が、私的に燻っている。

土田くんが弾かれてしまったのは話の主旨を貫く為と理解する。割を食って気の毒でならない。
山川、河原両先生、土田君救済の番外編をお願いします。

尚、私は、登場人物達の感じている友だち観は、彼女たちの物であり、間接的には作者さんたちが、この子達はこう考えています、と呈示したもの、との考えなので、そこも評価に加えない。
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