このレビューはネタバレを含みます▼
読後すぐは、鳩川ぬこ先生の『初恋、カルタシス』の時に感じた様な寂しさが押し寄せました。でも今回自分なりに感じたことを言葉にしていくうちに、あぁ二人と私は同じだなと思いました。誰かを好きになればなるほど、自分と相手との見えぬ隙間に怯え、それを埋めたくなったり。自分の中の「好き」が、相手に心の形のまま届けばいいのにって思ったり。
性嗜好の違いは表面上の差異であって、何かしらの噛み合わなさは人を好きになれば誰しもに生じるもので。互いの世界と自分の世界とを見つめるだけの関係性から、顔を上げて共に同じ方向を見据えた二人はもう大丈夫と感じました。「あんなにきれいな金星は見たことがなかった」という飛田くん。相手を想いながら、ヒリヒリと澄んだ夜空がキレイだと眺めていた事が思い起こされ、私にもその金星が見えるような気持ちになりました。『初恋〜』、それから京山先生の『スリーピング・バグ』をもう一度読み返してみようと思います。