王妃ベルタの肖像
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王妃ベルタの肖像

西野向日葵/今井喬裕

あくまで個人的感想です

ネタバレ
2021年5月14日
このレビューはネタバレを含みます▼ 好きな本は必ず電子と本を必ず同時に買います。王妃ベルタの肖像もまさにその口でした。ただ3巻目は本は買わないと思います。それは二冊購入するまでの意欲に駆られないから。
今回3巻目が発売されると聞き、2巻が綺麗にまとめてあったのに続けるの?と思いました。本当に作者さんがこのシリーズを続けたかったのかな?と不思議でした。
でももっと掘り下げて主人公を追っかけるのならば、話しが読めるのは嬉しかった。ですが、3巻目は王妃ベルタではなく、作者が描いた世界観の補足、つまり外伝的な話にシフトチェンジされていた。
目次を見た時の嫌な予感が当たった。
多少は夫婦仲についてもあったけど、読みたかったのはベルタとハロルドの内心で、ルイ王子や国そのもののその後ではなかった。
それでも世界観を書く才能に恵まれていれば、小野不由美先生の十ニ国記の様なファンタジー歴史もありなんですが、そこまでの重みは感じず退屈な学術書を読んでいるようで、正直途中飛ばしました。

この作者さんは人物描写が大変上手で、それがライトノベルとも相性良かった。二巻までは何度も読み返しました。書きたい話しと、才能ある話しに相違がある様に思えます。ただ富士見L文庫はライトノベル。
後書きにあった、異母弟との過去話から夫ともつれる話や、母と妻とあるべき姿に悩むベルタとハロルドの話しが見たかった。そこに歴史的背景がしっかり描かれているから、作品に重みを二巻までは感じていた。
歴史的背景はあくまで添え物のが良かった。

漫画化のタイトルは私も微妙だなと思ってましたが、三巻を読んでみて、あぁこの作家さんの才能が売れるには、ライトノベル層の読者が必要だった、必要悪なのかとさえ今では思ってます。
今後もし才能と書きたい物の相違が解消されないまま、ライトノベルを卒業しても売れっ子さんになれるかどうか。
読者にお金を出して本を買ってもらうには、書きたいものだけでは売れない事もあるなとつくづく思った作品でした。
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