マイルノビッチ
」のレビュー

マイルノビッチ

佐藤ざくり

失敗を乗り越えて進んで行くストーリー

ネタバレ
2021年5月15日
このレビューはネタバレを含みます▼ 痛い事ばかりしでかして学習していく主人公マイルの恋愛(恋愛未満多数)遍歴。
少女漫画あるあるの、綺麗になって急に異性にモテ出す展開。この種の多くは好きな人一途だが、本作は付き合う相手が変わる迷走を辿り、最終コーナーで真の相手を自覚。漫画だからそこは大袈裟に蛇行しながら。恋愛面のマイル(マイレージ)を進むが如く。
体当たりマイルのやらかす失敗を、読み手はここで追体験するのだろう。ダメだそんなことしちゃ、そんなこと言っちゃ、と思わせるエピソード次々。しかし本当に少しずつだが学習効果は出てくる。好感がマッチすることの難しさ、よく判っていない相手と会う危うさ、関係を続ける厳しさ、信じ合う気持ちの脆さなどなど、マイルに体験させるのを、こちらは「あ~ッ!バカなの?」とヒヤリとさせられながら、後々ハイスペックな男の子にもお断りすることになるような女子の成長?を見るのだ。自分と付き合いたいと言ってきた男子の出現だけで舞い上がって、よくわからないうちに付き合うつもりだった初期からの、大きな進歩。現実離れした失敗や天佑依存をするので、批判的読者が多数発生した様だ。
漫画お得意の、主人公を好きになる男の子ばかりが登場するが、ご都合というよりは、その「遍歴」(ビッチの様)からマイルが得るものが描かれる。誰もが簡単には恋愛を進めてはいないことを。たとえ上級者松丸であっても。

絵が相当隙間が空いている印象。
大きなコマが多く、その場所を活かしていないように見える。
天佑が私の眼には、3巻辺りで既に残念な程劣化していた。
1巻目の丁寧さが減っていった。「毒キノコ」時代の暗さの表現にも関わるかもしれないことだが、もっと黒が入っていたのに、後半は、マイルが前を向くようになったからとはいえ、相対的に白っぽさが気になる。特に各回の扉絵が、時間不十分に仕上げたような感じ。

天佑にも恋愛問題を出してきて均衡を取ろうとした意図は理解するが、百々さんや冬くんとの関わり合い方が多少苦しい展開に見えた。しかし、捨て身で飛び込む、というあり方の見せ方はわからなくはない。大人でそれをやる、というのも本作の流れらしいといっちゃらしいから。
終着点は天佑くんでも、ウロウロフラフラの迷走中の、先が読めない筋は独創的。
昔はアドレスを第三者が他の人に事前了解無しに教えてしまうことはあった(された)。今と違って。

3.3ー3.45位のつもり。
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