カードキャプターさくら クリアカード編
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カードキャプターさくら クリアカード編

CLAMP

ひたすら疑問がクリアにならないカード編

ネタバレ
2021年5月18日
このレビューはネタバレを含みます▼ 16年もの歳月を経て、再連載されたCCさくらの新章。全員のフォルムが丸みを帯びた程度の変化で、あとは長いブランクがあったとは思えないほど、当時の絵柄を忠実に再現されており、さすがCLAMP先生だと感嘆致しました。そんな前作の続きで中学生となったさくら達の成長ぶりを見れて嬉しい!はずなのに、率直な感想を申し上げるとイマイチです...。というのも前作の二編と異なり、この新章、圧倒的に展開が遅く、常に不完全燃焼が続きます。また目標と目的が不明瞭で。例えば、クロウカード編では全カードの回収が目標で、最後の審判を経て新たな主人になるのが目的。さくらカード編ではクロウカードをさくらカードに変換するのが目標で、それらを失わない様にする事が目的でした。が、今回のクリアカード編は無意識の下、さくらの魔力で作り生まれたカードを固着はしますが、それが一体何の意味があるのか、また最終的にどこに行き着くのかが一切明らかになっておりません。終始モヤモヤして、読者のクリア感はゼロです。
更に、念願の両想いとなった小狼とさくらですが、期待以上の甘い蜜月を過ごす...こともなく、胸熱シーンやお色気シーンは皆無。稀に視線を熱く絡めたりハグしたかと思えば、知世かケロちゃんに邪魔されて進展ナシ。さすがに戦いの渦中といえど、唇どころか、ほっぺにチューのひとつもないとは中学生が聞いて呆れます。ほえほえ言ってないで大人の階段も登ってほしい...。
さて、10巻以降の展開としては、クリアカードというだけあって、これまでのさくらの魔力や立ち位置的存在がクリアになる、つまり消えてしまう事になるのではないかと考察します。そして昼夜逆転する様に、瓜二つに作られたであろう秋穂とさくら本人が入れ替わり、今度は秋穂が新たなカードを掌握し、温かな家族と友人、好きな人に囲まれた未来を送る。そんな世界を海渡が企んでいる気がします。現にさくらは友人達から知らない人だと素っ気なくされる夢を見たり、秋穂が桃矢をさも自分の「お兄様」と親しげに呼ぶ事を考えると合点がいきます。が、現在もこの疑問を解消してくれる人は誰一人としておらず、物語も問題発生と原因不明のくり返しで、スパイラルのカードを使いましたか?と聞きたくなる有様。
今後も更新を待ち続けますが、恋愛面でもバトル面でも淡い期待はかなぐり捨てて、ふんわり読んでいこうと思います。
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