梅ちゃんとはどんな子だったのか





主人公の記憶として過去の描写が鍵的に用いられて、読み手としては人物達のキャラを膨らませて受け止める材料のところ、主人公達の内側で彼は今に連なるこだわりの記憶であり、永遠の少年少女期のモチーフであるかのよう。それも、わだかまりは、解決が難しい。
そして、ちょっと違うがアイドルが偶像化されたキャラに留まる事を期待されたりする状況を連想した。
梅ちゃんは、やっぱり、種明かしされた様な回を経てもまだ、くらもち先生が全てを明らかにしない、謎めいた存在のままだった。全3巻という区切りが必要だから、読者の引っ掛かりを片付ける為に、先生は梅ちゃんの正体を見せた。但し、見せるといっても、そんな見せ方で、点点を線に引いた程度に。
繋がりは梅ちゃんで、一見バラバラな組み合わせが1枚の関係図に収まる最終形。小学生の時の復讐というシーン、かつてのクラスの連中の言葉が突き刺さる。
「泣き顔を見たかったから」といういじめの理由は経験があり、ほほえましくもなんともない。私なら、そこ全く寛大じゃないから、個人的に実は愉快な読後感ではなかった。小学校時代の事として古くても、消し去れないものだ。級友達の感じがこれまた、こじれは解けないと思わせる。
客観的に読んで舌を巻く作品であるから、よく造り上げたものだと、先生の創作力に驚嘆する。だから個人の恨み事を持ち出して評価を下げる気は無い。
唯一、白河さんのターンは分かりにくい。先生が感覚的な所から描かれるってことが、実によく判るターンなのだけれど。1990年作品。
先生の回想を別サイトで読んで。(高校1年でデビューされたからか)お若い時分は編集の方々に怒られてばかりだったとあり、実はショックだった。いいものを世に出したい、そこは分かるが、昔の大人のそんな態度は想像がつくし、だから余計腹立たしい。いいものを作るための助言であろうとも、そのやり方は違っていて欲しかった。

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