拝啓「氷の騎士とはずれ姫」だったわたしたちへ
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拝啓「氷の騎士とはずれ姫」だったわたしたちへ

八色鈴/ダンミル

かつて愛した氷の騎士の本心に触れるまで

2021年5月28日
コミカライズから続きが気になり、小説も読み始めました。
いざ手を出してみると、漫画とは全然違っていて。
これは最初からちゃんと読みたいなと思い、1巻からガッツリ読んでしまいました。

漫画では表現できなかったのだと思われる細かいやり取りや心情が事細かに描かれていて、とにかく惹き込まれました。
漫画版でも充分面白いと感じていたのですが、それでもわずかに違和感を感じていた部分が
小説を読めば全て納得出来るので、この作品が気になる方は是非小説版を読んで欲しいと思いました。

この作品のあらすじは、生前結婚していた旦那様に愛されることなく命を落としたお姫様が、命を落とす予定だった4歳の女の子へ入り、第2の人生を過ごすというもの。
そして何の運命の悪戯か、生前の記憶を取り戻してしまい、かつての旦那様と死ぬ前に産んだ娘の側で過ごす事になってしまうお話です。

2巻読みましたが、まだまだこれからですね。
早く旦那様と心を通わせるところまで読みたいです。

生前のリデルがあまりにも可哀想で、旦那様のオスカーが許せないです。
リデルを妻にと望んでいた従兄弟がオスカーにキレて斬りかかったシーンは、むしろスッキリしました。

オスカーは後悔できる心があるのなら、なんでリデルに1ミリも優しくできなかったのか理解できません。
読み進めていくうちに、オスカー視点の描写もあるので
なんとなく彼の気持ちも分かってはくるものの、やはり納得はできません。

彼女のことを好きすぎて自分のような者が触れること自体躊躇われるけど、手には入れたくて、手に入れたら入れたで宝物のように仕舞い込んでおきたい。誰の目にも触れさせたくない。そんな考えだったようですが
まるで物のような扱いですよね。リデルにも心があることを、知らないんじゃないか?とすら思ってしまいます。

いずれ仲良く過ごしたいと思っていたようですが、彼の気が向くその日まで、彼女が辛い思いをするとは思い至らなかったのでしょうか。
鈍いという言葉では片付けられないほど愚かだし、すれ違いと呼ぶにはあんまりな夫婦生活でした。

もうリデルとして言葉を紡ぐことはできませんが、ジュリエットとしてでも、彼と真っ直ぐぶつかり合うところが見たいです。
生前、素直にぶつかり合うことができていたなら、誰もが羨む幸せな夫婦になっていたはずなのに。
切なすぎるお話です。
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