春と嵐
」のレビュー

春と嵐

香魚子

全2巻は短い。やや消化不良。

ネタバレ
2021年5月29日
このレビューはネタバレを含みます▼ 少女漫画らしいご都合主義展開が心地良い。少女漫画(ラブコメ)は、やはりハッピーエンドが最良だと思う。1巻時点では、大勢の女の子と浮名を流していたヒーローの風馬君が、ドジで不器用で取り立てて美人でもないヒロインのつぼみちゃんに惚れた理由がイマイチ理解できなかったが、2巻でヒロインとは全く別タイプの元カノが登場し、合点がいった。元カノとの望まぬ別離が尾を引いていた風馬君は、他の女の子と付き合っている間にも、元カノのことを思い出してしまい、長続きしなかったが、つぼみちゃんは元カノとの共通点が感じられないため、元カノとの悲しい別れを克服したい風馬君にとって、最適な相手だったのだと思う。再会した元カノからの告白を断り、つぼみちゃんに対して誠実さを示したことで、ようやく本当の恋人になれた、というところで物語は終幕するが、仮にどちらかが元カノと同じように遠方に引っ越してしまい、簡単には会えなくなったとしたら、どうだろう。「風馬君じゃないと私は幸せになれない」と言ったつぼみちゃんは遠距離恋愛を受け入れそうだが、手当たり次第に付き合っていた前科がある風馬君は、寂しさを埋めるために元カノとヨリを戻してしまいそうだ。このような読後感を抱いてしまったのは、本作が全2巻と短いがために、キャラクターの掘り下げが物足りず、話が駆け足気味に進んでいったからだと思う。少女漫画作品は短命に終わることが珍しくないが、5巻くらいは連載すべきだと思う。
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