LOVE SONG
」のレビュー

LOVE SONG

まんだ林檎

心の琴線に触れます

ネタバレ
2021年5月31日
このレビューはネタバレを含みます▼ ちるちるのソムリエで推薦されたのとフォローさんのレビューに後押しされて読んでみました。私も皆さん同様、表題作にやられました。(※以下、盛大にネタばれしてます)
性同一性障害を持つ刀根とクラスメイトの波広の話。
内面の障害は気づかれにくいのに敢えて言葉にする刀根に、あっさり「大変だね」と応じる波広とのやりとりからお話は始まります。波広のおおらかさにどれほど刀根の心が軽くなっただろうと思えば、さらりと男子特有の考えを口走ってしまう波広にハラハラもして。けど、こういう光景ってよくある事なのかもしれません。。刀根も十分理解しているのか、波広に対してわきまえている様子が凄く伝わってきます。
そんな刀根がいつも聴いている曲がジュリー。私もリアルタイムで見てましたが、当時のジュリーは危険な色気が漂い仕草も声も妖艶でした。そんなジュリーの曲をカラオケで熱唱する刀根、選んだ曲はダーリン。この曲をようつべで検索して刀根の心情を思いながら聴いたんですが、なんか胸が締めつけられました。感情の防波堤が決壊し涙を流す刀根を見て、必死で慰める波広。波広は、本当に裏表ないすごく優しい男子でした。ただ2人の気持ちが分かるだけに、この場面は涙が溢れてしまい‥。短いながらも感情に訴えてきて、ラスト数行に余韻が残ります。
他4つの短編が入っていますが、心に残る名言や場面が多々あり書ききれません。静かに心の琴線に触れてくる作品、ストーリー重視の方にオススメです。
いいねしたユーザ5人
レビューをシェアしよう!