大阪ハムレット
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大阪ハムレット

森下裕美

これぞ森下ワールド

ネタバレ
2021年6月2日
このレビューはネタバレを含みます▼ 西日本にすんでさえ、ガサツで平気で人にズケズケとモノを言ってくるというイメージで見られがちな、大阪の人。

それは、半分ホントで、半分間違いかもしれないが、本作では、大阪にも、ふんわり優しい人たちがいることを教えてくれます。(当たり前なんですが)

心が、少しつらい時に読みすすめると、涙が流れてきます。何度でも、心の汚れを、洗い落としてほしい。

全編、主人公はピュアな人たちばかり。救いようのない悪人や、事情あれども許されない登場人物があまり制裁されなかったり、それどころか幼少期に救ってくれた友人が困窮していても助けの手を述べず、かつての共通の敵と仲良くなったりと、必ずしも全員ハッピーエンドではないことも。

それもまた、現実で、だからこそ、おお甘にならない展開に、心を刺されながら、プラマイゼロからの、ややプラスで救われる、そんな感じの珠玉の名作です。
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