少年のアビス
」のレビュー

少年のアビス

峰浪りょう

「君の人生この先絶対つまんないだろーし」

ネタバレ
2021年6月3日
このレビューはネタバレを含みます▼ なんて言われて「初めて自分を理解してもらえた」と喜んでしまうくらいには屈折した男の子が主人公の群像劇。『ヒメゴト』に続き、思春期の行き場のない感情や人間関係のもつれ具合が秀逸です。一巻では主人公にとって害にしか見えない人物ばかりですが、それが徐々に本音や事情をさらけ出し「ああ可哀想な人なんだ」「理由があったんだ」なんてホッとしたところで別の顔を見せられる。はたまた悪人でしかないような奴が意外な切実さを覗かせる。万華鏡みたいに見える世界がクルクル変わって翻弄されます。二十九年前の心中未遂で死んだのは誰? なんてミステリー要素もあり、あっという間に読んでしまいました。
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