小木くんのなつやすみ【電子単行本特典付き】
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小木くんのなつやすみ【電子単行本特典付き】

こいかわ

可愛くて優しい世界なのに胸が痛い

ネタバレ
2021年6月4日
このレビューはネタバレを含みます▼ 受けくんはいわゆる女性の心を持って生まれてきた男性なんだけど、しばしばイメージされるBッチみの強いメスとは程遠くて、普通の女の子だったんだろうな、という中身なので、可愛くて応援したくなる。そんな中身は普通の女の子が、可愛いものやキレイなものを「好き」と言えない、言ってはいけない風潮が胸に痛くなるのかもしれない……。
女性『らしさ』や男性『らしさ』を求められる社会で、小さな子の「どうしてマニキュアしてるの」という無垢な質問が心臓に突き刺さってしまう。
攻めくんにはおそらく全盲なことで、そういう無意識に強要されるジェンダーらしさを知らずに生きてる。そこに救いを求めてはいけない、と可愛いものや彼らしさをやめる決意をするところが切なすぎる。涙ちょちょ切れた。・(つд`。)・。
私がおばさんだからかもしれないけど、保護者の気持ちになってしまい、この子たちがありのままで幸せになれる社会であれ、と願ってしまう。
漫画としては、素朴な絵柄で繊細な心の動きを描写されていて百億点満点。受けの彼がトランスジェンダーでもあるから、厳密にはBLではないのかもしれない。BLにカテゴライズせず、少女漫画や青年漫画や一般向けとして読んでほしい名作。
ただ、1巻の表紙からはそういう世界観が伝わって来ないので、広告不全という意味でもったいないなと思います。もっと作品の世界観が一目見ただけでわかる表紙なら、こういうテイストが好きな人の目にもとまりやすいのに。私は表紙とタイトルで目にとまったものから試し読みするので、その表紙とタイトルで刺さらなかったら、せっかくの試し読みすらしてなかったかも。今回はたまたま暇でローリングしてたら1話無料が目にとまった。表紙に世界観が出てないおかげで素晴らしいものを逃してたからちょっと悔しい。
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