九条の大罪
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九条の大罪

真鍋昌平

彼は本当に悪徳なのか?

2021年6月5日
ウシジマくんほどの派手さや奇抜さはないものの、こちらの方が身近なテーマでより興味深い。誰もが加害者にも被害者にもなり得る時代。裁判では弁護士の技量によって人生が変わることもある。半グレ・壬生のお抱え弁護士の九条が主人公だが、罪の意識のない加害者(依頼人)を守ることだけを考えているので、世間からは悪徳弁護士のレッテルを貼られている。「私は道徳と法律を別に考えている」という台詞が九条の人となりを表している。単なる悪の味方というわけではないというか、筋が通っているので嫌悪感はあまりない。時折ふと寂しげな表情を見せるあたり、ウシジマくんよりは人間味があると思う。特に介護問題は高齢化社会の日本では避けて通れないので、面白いんだけど他人事とは思えず気分が重くなる。子供や年寄りが理不尽な目に遭っている姿を見るのは辛い。その点、イソ弁の烏丸との会話には少しホッとする。何やら、いつか対立しそうな伏線を張られた気がしなくもないが……。
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