このレビューはネタバレを含みます▼
作者さんは強迫性障害を過去に克服されたそうなのですが、周囲の人に対する目線にも強迫的な感性があるというか、強いレッテル貼りと決めつけがあり、自分と異質なものを一切受け入れられない、というこだわりがかなり強い方だなと思いました。自分と違う事=悪ではないと思うのですが、1つでも自分の偏見を抱く属性を見つけると主人公は一切それを受け入れられない。同じ属性の人すべてが同じ思想・背景であるわけはないのですが、主人公はすぐに属性でカテゴライズしてしまいます。主人公自身も自分の考え方に疑問をいだきながら、その思い込みをなかなか塗り替える事ができないのは、強迫性障害の特性によるものだと思いました。
主人公の生きづらさは、ジェンダーによるものだけでなく、強迫障害的な認知のゆがみから来るものが大きいと思うのですが、もしかしたらその頑なさ、受け入れなさは、「自分が誰にも受け入れられていない」と感じているからこそ、「異質なものを許してしまったら自分が消えてしまう」とおびえておられるのかなとも思いました。どちらも相関的な要因なのかもしれません。