このレビューはネタバレを含みます▼
30年に渡ってHIV治療へ寄付してきたドラァグクイーンのマシューにポールがインタビューし、マシューが語る形式でお話がはじまります。1984年、マシュー、パトリック、ソニアは高校3年生、同性愛者で仲のよい友達で、マシューはパトリックのことが好きですが、告白はできないまま。ある夜パトリックはバーでたまたま知り合った男と関係を持ちます。この本の作者はHIVの患者を支える活動をされているそうです。HIVが日本で報道されるようになった当初は欧米で奇妙な病気が流行っているとまだ対岸の火事のような扱いでした。治療方法もなくゲイが感染することが多かったので差別されることもあり、患者は非常につらかっただろうと思います。この本は死にいたる病ではなくなってきたとはいえ、未だに完治することは難しいこの病気に罹らないように気をつけることを訴えている本だと思いました。そして物語としてもとても胸を打つものでした。BLぽく終わっていて軽いと感じられるかもしれませんが、そのあたりも私はよかったと思います。
2018年10月 挿絵2点。