【分冊版】キャラ文庫アンソロジーIII
尾上与一/木下けい子/円陣闇丸/宮緒葵/みずかねりょう/英田サキ/高階佑/夜光花/笠井あゆみ/樋口美沙緒/yoco/松岡なつき/彩
[DEADLOCK]ディックの過去の一端が明らかに
ネタバレ
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バハマへと旅立つネトを見送りに行ったロサンゼルス空港で、ユウトとディックは、ディックを本名で呼ぶ男サイラスに出会う。いわくありげな二人の雰囲気に胸がざわつくユウト。待っているだけでは相手を知ることはできない、心に踏み込んでみろとネトに背中を押されたユウトにディックが語った少年時代とは…?
謎多き男ディックが抱えてきた苦悩。誰かにとっての正義が他の人にとっては正義でも救いでもないどころか絶望にもなりうる……真理でしょうが、大人でさえ受け止めるのが難しい事実を、庇ってくれる身寄りも味方もない中、わずか13歳の幼さで目の前に突きつけられたその気持ちを思うと、かわいそう過ぎてやるせないです…。だから、重荷を共に背負うと言ってくれたユウトにしびれました。
それからユウトが、自分も嫉妬する人間なんだと自覚し、ディックにもそう表明できてよかった。そうだよ、君の物分かりの良すぎる態度がディックを不安にさせ、読者の気を揉ませてきたのだよ~、ユウト~。
このお話、二人が同居して2年とあるので、時系列では『琥珀』(ディック、ユウトの家族と初対面)のすぐ後、『PROMISING』(ジーンズ洗濯するしないでケンカのオープニング)と同じ頃です(年表作りに読み返し、途中で力尽きました)。
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