SKYBOUND
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SKYBOUND

アレクサンダー・ヴォイノフ/冬斗亜紀/百舌まめも

洋画のワンシーンのよう

ネタバレ
2021年6月19日
このレビューはネタバレを含みます▼ 1945年、ドイツ--とくれば第2次世界大戦。2年前の2月に日本軍もドイツ軍も各地で大敗を喫し、9月にイタリアが降伏。くだんの1945年は5月にドイツ、8月に日本が降伏し戦争が終結した年。このお話では、その敗戦まで秒読みのドイツで戦闘機パイロットのフォークト少尉とフェリックス整備兵の間に生まれた恋情が物語られます。
お話には書かれていませんが、フェリックス(Felix)を辞書で引くと、ラテン語で幸福(happy)、幸運(lucky)を意味する名前なのだそう。あぁ、それで「幸運に恵まれた男だな」という発言なんですね。
フォローしている方のレビューに(また)ふらふらと誘われて読み、想像していた以上の官能的な描写にやられました(黒手袋を外した手を見つめた…?なんてエロティック!)。
読み始めから終わりまで、時に観客となり、時に監督となって映像を観ているように人物が動き戦闘機が飛び、爆音が響きピアノの旋律が流れました。
言葉少なに交わす会話と意味ありげな視線。作品に饒舌さを求める方は「?」となりそう。でも映画『モーリス』や『君の名前で僕を呼んで』などの空気感がお好きな方なら、きっとお気に召すはず。
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