読みごたえがっつり!!だよ!!!





2021年6月23日
まず、表紙と挿絵の可愛らしさに騙されてはいけない。と、言いたい。文章は少し昔の翻訳小説のようで、あれ?っと思っていたら、令嬢モノのテンプレよろしくいつものように衆人環視の中での婚約破棄されるのだが、その先からはこれまで読んだ令嬢モノとはちょっと趣の違う描き方で、この物語が実は『令嬢モノ』ではなく、価値を見誤った為政者が辿るべき崩壊の物語としてじっくり読ませるお話になっている。同時に追放=開放された主人公が気ままに気軽に生きていこうとするのだが、望むと望まざるに関わらず多くのたちに求められ輝く存在になっていく。
まさに冒頭の「一つの王国の終わりの物語。一人の娘の始まりの物語。」の一文に集約された山あり谷あり血湧き肉躍る物語で、精霊に愛されて人の世の欲とは無縁のように無自覚に守るべきものを守ろうと心の赴くままに人と精霊の世界を文字通り繋ぐ存在となるリーナと、自らの野望にのみ忠実に王国の頂点に登りつめようとして陰惨な運命の中に身も心も取り込まれていくヴィヴィア。光と陰ほどに対照的な二人の女性を中心に物語は進み、あるべき結末へと収束していく。結末は明るくハッピーエンドと言っていいのだが、作者の気持ちの表れと思われる、人生や歴史における幸不幸は単純ではないのだと言いたげな文章で終わっている。巻末の番外編は本編でその後の顛末が気になっていた登場人物を間接的に描いていて求める答えとなっているようだ。うんうん成程さに在らんと。
購入後少し寝かせてから読むつもりが、仕事と家事の合間をむしり取るように一気に読んでしまった。ああ、勿体ない。
まさに冒頭の「一つの王国の終わりの物語。一人の娘の始まりの物語。」の一文に集約された山あり谷あり血湧き肉躍る物語で、精霊に愛されて人の世の欲とは無縁のように無自覚に守るべきものを守ろうと心の赴くままに人と精霊の世界を文字通り繋ぐ存在となるリーナと、自らの野望にのみ忠実に王国の頂点に登りつめようとして陰惨な運命の中に身も心も取り込まれていくヴィヴィア。光と陰ほどに対照的な二人の女性を中心に物語は進み、あるべき結末へと収束していく。結末は明るくハッピーエンドと言っていいのだが、作者の気持ちの表れと思われる、人生や歴史における幸不幸は単純ではないのだと言いたげな文章で終わっている。巻末の番外編は本編でその後の顛末が気になっていた登場人物を間接的に描いていて求める答えとなっているようだ。うんうん成程さに在らんと。
購入後少し寝かせてから読むつもりが、仕事と家事の合間をむしり取るように一気に読んでしまった。ああ、勿体ない。

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シー さん
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