心を半分残したままでいる
」のレビュー

心を半分残したままでいる

砂原糖子/葛西リカコ

切ない

ネタバレ
2021年6月26日
このレビューはネタバレを含みます▼ 「言の葉」シリーズのコミカライズから来ました。
意味深なタイトルとレビューやあらすじの「記憶障害」が引っかかって、読み始めるのに少しだけ躊躇しましたが一緒にSALEで購入していたこちらを先に読みました。
周期的に記憶喪失(時間が経っても記憶が戻らない)を繰り返す真文×雰囲気のある喫茶店の店長、衛。
1巻と3巻の現在は真文目線、2巻の過去は衛目線。本編は3巻まで、各巻書き下ろしあり。4巻は短編集で最後に本編より未来のお話が入っています。
真文の記憶障害がかなり重く、同じモチーフの映画もあったけど(元の米国のやつしか見てない)あれは良くも悪くももっと短期間で記憶がなくなっていたので、周期が長いせいかより切なさが増す様な気がします。
記憶を喪失すると自分が誰なのかどこに住んで何をして暮らしていたのかも全て分からなくなる怖さと幸せな記憶をもいつか全て無くしてしまうかわからない焦燥感。
真文の病気につけ込むんだ奴は許し難いけど…彼も根っからの悪者ではないところがやるせない。
それにしても強くて一途な衛が切な過ぎました。1巻の後半もだけど、2巻の甘酸っぱいもどかしくも幸せな日々を読むのが切なくて、その後何があったかが分かっているだけにずっと胸が痛かった。
ちゃんとハッピーエンドになって番外編でも幸せな日々を垣間見られたので安心したのに衛の心境を考えると1巻から読み返す勇気が出ません。
…と書いたのにその後、ぐるぐると3回ほど読み返しました。
主にリングノートの日記の内容の再確認、季節を含め、いつ頃記憶が飛んでいつ頃何があったかを確認したり真文と衛の心の動きを追って。
再読の方がラストが分かっているので胸は痛くても何とか読み進めることが出来ました。
物語の後半で真文が夢にみるようになった幼い頃の優しく幸せなお母さんとの記憶?にも胸がぎゅーっとさせられました。
今後も真文の記憶は何度も失われるのだろうけど、彼と一緒なら大丈夫な気がします。
おじーちゃんになるまでずーっと仲睦まじく離れずに暮らしていける事を願わずにはいられません。
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