幸運男子(ラッキーくん)
」のレビュー

幸運男子(ラッキーくん)

高口里純

完全版に収録されている番外編目当てで購入

ネタバレ
2021年6月26日
このレビューはネタバレを含みます▼ オリジナル版を読了していますが、こちらの完全版に収録されている番外編を読みたくて購入しました。
各話の掲載順がオリジナル版と異なり時系列順に並べ替えられていますが、個人的にはオリジナル版と同じ順番で読んだほうが良いと思います(ACT.1~7→13→8~12の順)。
紙の本には著者原案の小説2本と後書きが収録されていたようですが、電子版には未収録のようです。
番外編は大学の入学試験が終了した日のお話のようですね。すばるが亡くなったのは合格発表の日だと思うので、通常は10日前後間が空くはずなのですが、まるで亡くなる前日であるかのような話の流れとなっており、謎です。
そして、連載終了から数年経過後に描かれたお話のようなので仕方ないのでしょうが、個人的には引っ掛かるというか、違和感を覚える部分の多いお話でした。
特にすばるは、外見も中身も同作者の他のBL作品のキャラに引き摺られてしまった印象です。
あと斑とすばるって、一般的な同性の友人のような掛け合いやじゃれ合いをすることも多いですし、二人は友人でもあるのでは、と感じてしまいましたね。正直な所残念に感じる部分が多かったので、私の中での「完全版」はオリジナル版ということにしておこうと思います。本編についてですが、この作品は突っ込み所も設定の粗も多いんですよね。時間の経過がわかりにくいコマが少なくないですし、1話限定の使い捨てネタなんかもあったりします(斑の超能力等)。欠点は多いですが、個人的にはとても好きな作品です。何といっても、相手の心に届けるかのようなキスシーンが色っぽくて官能的です。わかりやすいセリフがなくても、絵だけで想いが伝わってきます。また、斑もすばるも未熟さや臆病さや身勝手さがありながらも、不思議と潔さと清々しさを感じさせるキャラクターなんですよね。能動性と受動性、精神的な愛と肉体的な愛のバランスも絶妙で、別れこそ悲劇的ですが、二人とも「悲劇のヒロイン」化しないところが好きです(それゆえに番外編のすばるにはがっかりしてしまいました)。基本的には明るく爽やかなお話であるところも魅力的です。個人的には高口先生のBL作品の中でベストかなと思います。
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