ブライトライトスプラウト
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ブライトライトスプラウト

市川けい

残ったのは恐怖心

ネタバレ
2021年7月5日
このレビューはネタバレを含みます▼ 「年の差ラブストーリー」という宣伝文句ですが、そんな軽いノリで読む話では無かった…完全にサスペンス。はらだ先生の「にいちゃん」とか、もちの米先生の「はるがきた」とかが、私が読んだ中で近いジャンルで、ダークさで言えばその2作の方が上回るような気がします。作者様が「あまり暗くならないように」と後書きされていただけあって、話のリズム自体は決して暗くはありませんでした。蓮の妙な健気さや気丈な振る舞いと、「どこまで立ち入って良いのか?」と戸惑う陽歩の葛藤が交差し合う様があまりにいびつで、冒頭の「あの頃」の小さな違和感を少しずつ成長させてしまって迎えるラスト。私は怖かったです。恐怖心を狙って描いていた訳では無いかもしれないですが、この作品の中に出てくる登場人物の中に信じられる人は誰もいないような…これはもう関わってはいけない。読み返せる日は来るのだろうか?と思う位の引き込まれてこの余韻なので☆5にしました。
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