薬屋のひとりごと~猫猫の後宮謎解き手帳~
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薬屋のひとりごと~猫猫の後宮謎解き手帳~

日向夏/倉田三ノ路/しのとうこ

いかにも

ネタバレ
2021年7月7日
このレビューはネタバレを含みます▼ 謎解き一つ一つは面白いのに、浅い人物設定が残念。ヒーロー役の美形宦官の分かりやすい正体もそうなんだけど、ヒロインの主人・玉葉妃が何につけても手放しで絶賛され幸福一辺倒な設定だとか、原作も薄っぺらいいかにもなライトノベルなんだろうな…玉葉妃って表情も言動もあざとく小賢しいだけで、全く頭の良い女とは思えないが。これじゃ全巻読まなくても行く末は想定できる。
そして疑問だったのが、『梨花妃の実家は皇帝の外戚で妃自身も皇族出身』とあり、言葉通りならば「梨花妃の父は皇太后安氏の親族で、母が皇族」又は「梨花妃の父と皇太后安氏は親族かつ皇族」という事になる。いずれにせよ梨花妃は現帝と母皇太后を通した親密な縁戚という事になり、お話の序盤で子が立太子しているのに自動的に皇后に冊立されていないのはかなり不自然で、
逆に明らかに出自で劣り西方との混血である玉葉妃をさっさと立后させるのは(原作では男児誕生→即立后したらしい)無理筋過ぎる。
十六世紀中国をモデルにしているとの事だが、ならばなおさら皇帝・天皇の正配選びは外戚(普通母又は妻の一族を指す)を最重要視するのは常識な時代であり(しかも神話時代から徹底した親族血統主義の王朝という設定)、あれでは賢帝どころか母皇太后とその親族の面子を潰し自らの権威を下げ、只の寵姫をスピード立后させた馬鹿主上ではないの?
そういう根本の設定がいい加減でご都合主義な割に、後宮や妃制度を随所で語っているから滑稽。
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