おまえでダメならもうダメだ
」のレビュー

おまえでダメならもうダメだ

未散ソノオ

余韻がじわじわくる

ネタバレ
2021年7月12日
このレビューはネタバレを含みます▼ バーの経営者の八雲と10年来の親友のサラリーマン・伊勢島。結婚が破談になった伊勢島が「お前しかいない」と土下座して八雲にプロポーズ。この時点で伊勢島は変わった人だなと思ったけれど、読んでいくと伊勢島は変わっているのか、強いのか、鈍感なのか、無神経なのか、天然なのか、素直なのか、よく分からなくなっていく。


八雲は伊勢島に絆される形でお付き合い(結婚ではない)をOKしたものの、恋人的なイチャイチャとは程遠い付き合いで、伊勢島は本当に社会保障の手段として結婚しようとしているなと実感。

それでも、付き合いを続けるうちに八雲の気持ちは恋愛にシフトしていき、会社で理不尽ないじめに遭っている伊勢島を何とかしたいと思って行動する八雲はカッコイイ。


八雲たちの先輩・幾の伴侶であるミトの出現から八雲の隠されていた部分が剥き出しになり、終始穏やかな印象だった八雲が感情を顕にする姿に心が苦しくなった。

伊勢島が恋愛感情や痛みに気付いていく様子が独特な余韻となって読後じわじわくる。エリンギとエノキの件が可笑しくて、真実を知ったときの伊勢島のドキドキアワアワが可愛い。
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