漫画版 されど愛しきお妻様
」のレビュー

漫画版 されど愛しきお妻様

上田美和/鈴木大介

壮絶。やさしい発達障害 翻訳本

ネタバレ
2021年7月14日
このレビューはネタバレを含みます▼ 定型発達の人が自身の体験を通して、発達障害の人の感じている世界を翻訳するような本。 著者は、発達障害である彼女の謎行動を、自分が脳機能障害になり、同じような症状を持ったことで初めて理解する。 著者が物書きの方なので、「困難が起きている時の感覚、感じ方」など、五感で想像できるような、実体験に基づく言語表現・解説が表現豊かでわかりやすい。秀逸。

はじめ、会社で浮く存在なぶっ飛んでる彼女を、可愛いと思える彼の包容力と愛情に驚いた。(同棲する流れも、共に闇落ちしそうな暗い展開しか浮かばず、よく本当にサバイバルされたなーと思う )
やがて働けなくなる彼女。夫は、彼女と彼女の親との関係性、障害特性との向き合いに加え、家事も生計も全て支え、抱え込む。入院費、生活費はどうしてるのどろう?とか、自分ならあっという間に絶望感じて動けなくなりそうだけど、踏ん張って頑張り続ける姿に心が動く。彼が彼女と同じような脳の障害を抱えてからは、だからこそ理解しあえて、フォローしあって、自分たちにあった生活様式を整えていく。その様は、再生、希望が見え、とても明るい気持ちになった。
上田美和さんの絵がよく、読みやすいのもいい。
ヘビーだが、貴重な体験。書物に残しシェアしてくれたことに感謝します。
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