野良犬を追う男
」のレビュー

野良犬を追う男

中原一也

余韻の残るラスト

ネタバレ
2021年7月18日
このレビューはネタバレを含みます▼ 小学校からの同級生、高校・大学時代で距離が近くなったものの、ある冤罪事件を機に袂を分ち須田はヤクザに新垣は刑事となって再会します。
須田にとって新垣の存在は人間らしさを保つ唯一の砦だったのに、今となってはヤクザの矜持を揺らがす危険な存在になっている。新垣と会う事でヤクザにとって邪魔な感情を取り戻しかねないと逡巡しながらも逢瀬をやめられない須田は、本当の悪人にはなりきれないのでしょうね。新垣が須田の事を「気持ちのいい悪党」と言ってるのは的を得ていて本当ぴったりでした。
そんな須田を誰よりも気にしている新垣は芯が強くて漢気もあって、またもや私が好きな攻め様でありました。新垣が自分の立場を捨ててでも須田と共に歩みたいと覚悟を決めて行動に出るところは、世の殿方に覚悟とはこういう事!と見せてやりたいくらい。ここまでされたら惚れてまう‥。
ラストは賛否両論かもと作者様は気にしてましたが、私はむしろしっくりきて腑に落ちました。このラストだからこそ作品に浸り2人に想いを馳せてしまって。今もレビューを書きながら、新垣は何を思い須田はどうなったんだろうとそればかり考えてしまいます‥
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