コぺルニクスの呼吸
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コぺルニクスの呼吸

中村明日美子

鳥肌が一気に……もう感無量です

ネタバレ
2021年7月23日
このレビューはネタバレを含みます▼ 明日美子先生の初の連載作品。70年代パリを舞台にした、売 春サーカス、そしてそれに命を燃やす美しい人間達の生き様を描いた物語です。
初期の頃から、明日美子先生の世界観というのは確立されていたのかなあと思います。この作品はもう「芸術」という言葉以外でどう表現していいのかわからないです。どんな想像力、感性を持っていたらあんな素晴らしい画でこの物語を表現できるんだろう。パリのポンピドゥセンターで展示される芸術作品の如く、まさにアヴァンギャルドな明日美子先生のアートには魅了されっぱなしです。
そして、詩的な一文一文の描写も意味深でミステリアスで、意味不明なんですが、なぜか登場人物達の苦しい心の叫びは伝わってきます。みんな必死に、それぞれの蹂躙された身と心と、向き合おうとしてるんですよね。
コペルニクスの呼吸の下、主人公が最も輝ける場所にまた戻って来られてほっとしました。と思いきや、物語終盤、本当は弟じゃないんだと!?ミシェルは弟じゃなく、主人公自身のことだったんだとおおお!?びっくりしたと同時に真実を認識して、物語の全てのピースが組み合わさりました。ブワッと鳥肌が…!そして、その真実が物語の展開を180度変えてしまいました。なるほど、タイトルの本当の意味を理解しました。コペルニクス的転回。やられた。さすがです、もう感無量としか言えません。いやでもじゃあ、弟の本当の名前って一体なんだったんだろう…?1巻目と2巻目のカバーに2人のミシェルを置いているというのも意味深だあ。
それぞれの抑えが効かないヘドロのような情欲や愛憎が、美しく官能的に描かれてます。本当に大好きな作品です。パリが舞台になってるのも嬉しいです。懐かしい気持ちになります。
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