LOVE SONG
」のレビュー

LOVE SONG

まんだ林檎

幸せであって欲しいと願わずにいられない

ネタバレ
2021年7月24日
このレビューはネタバレを含みます▼ 淡い雰囲気の絵柄が切なさを感じさせます。
表題作は 性同一性障害の男の子刀根君の話。
とにかく、読んで見てほしい。刀根くんが
カラオケBOXで 精一杯の気持ちを込めて 歌うジュリー。おおよそ、若い世代 刀根君世代の歌手ではないジュリーの、ダーリン。YouTubeで曲聴きに行きました。あの時代男性なのにセクシーで 性別を超えた雰囲気のジュリーは
いまの時代の先駆けのように、
性別関係なく、好きな相手に ダーリン ダーリン、と愛を歌ってるような。そんなジュリーの歌を 体は男性でも心は女性である刀根くんが 精一杯の気持ちを乗せて波広くんへ歌うシーン。その後の 2つの告白と、刀根くんの涙を 見た時 もう、私も同じように涙が溢れてしまいました。
卒業後は 体も女性になると、決めている。でも今の姿の処女を貰ってと告白する刀根くん。刀根くんは、ずっと女性なんです。だから童貞じやなく処女を捧げたい。
どんな気持ちで、好きな人に それを伝えんだろうか、こんなに沢山のハードルのある想いを性同一性障害の人は抱えて生きている。いまからの時代 波広くんの、ように、知らないから、悪気なく、傷つける発言をしてしまい世界であってはいけないんだと、そんな事まで考えてしまいました。
読んだ後 胸の奥が詰まされたように 何故か凄く苦しくなる終わり方でした。

3話目の この終わり方、どう受け止めていいかわからないのが本音。きっとこうやって、本来の自分を出せず周りの期待に応えるべく
頑張りすぎて。でも頑張れなくて。そんな自分を嫌悪して。作中で、恋をするには まず自分を好きにならないと…みたいな台詞があるんです。まさに。でもそれが東堂くんには出来なかったんですよね。人を好きになるのは尊い事なのに。心が壊れてしまったような東堂くんの 姿が なんかもう泣けてしまって。。
2話目は、終わり方としてはハッピーだし
4話目も前向きな終わり方?のお話。

ただ、他の方も書かれてましたが 表題作の刀根くんが 幸せになれているのかが、何故かずっと気になるんです。
たかが単行本なのに 読んで、こんなに
その後が気になるのはバナナフィッシュのアッシュ以来です。。
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