ときめきトゥナイト
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ときめきトゥナイト

池野恋

かわいいファンタジーストーリー

ネタバレ
2021年8月3日
このレビューはネタバレを含みます▼ 五輪観戦に忙しく、久しぶりのレビュー。
話は恋メインだが、魔界・人間界・天上界・冥界+妖精界を舞台に、冒険や巻き込まれ事件続発、人間じゃないキャラ(能力以外人間と大差無し)が人間と関わり合いながら動き回る。どこにもない展開で明るくて良い。終わり方も良い。1982-94年の長期連載作品故に蘭世と俊の顔著変。3部構成と番外編。死線彷徨、3部目に妖精界新規登場、魔女修行、宇宙人、運命の相手云々盛り沢山。絵は丸みある線で親しみあるタッチ。吉住渉先生に系譜が引き継がれる感じ。キャラの見た目の変貌は年齢相応として許容出来る。筋は掴めるが絵が結構大胆に飛ぶ。掟みたいなことが立ちはだかり登場人物達を苦しませる制約事項となっていたものが、進行上容易に取り払われたり、主人公達が乗り出して、襲いかかる困難を頑張って対処したりして物語が進む。長編にありがちな、敵で登場し、後に仲間となるキャラが多い。敵役立ち位置のミッションが崩れていつの間にか別の役目。吸血鬼や狼男のDNAは何処に?
辻褄のおかしいところは沢山有り、粗探しし始めたら枚挙に暇無い。しかし奇想天外の域にある話にケチをつけると面白さが成り立たなくなる。目くじら立てず楽しむのが良い。かなり子どもっぽい話なので、童心で読んだ方が入り込める。
王子、王、魔女、という要素もなるみ編や愛良編ではそこまでストーリーに関わらない。そして時間や空間を飛ぶ自由さは楽しませてくれる。その奔放な発想力、空想力はこの作品の身上だろう。縦横無尽のストーリー進行が、このような長編でも読ませる力の源と思う。
鈴世の変身映像拡散とTV取材場面(88年)、「闇のパープル・アイ」(篠原千絵、1984-87)を連想。
22巻頃から大ゴマ化、キノコ場面辺りは時間が足りない中で制作したのだろうか。
カップル作りが、紙面でキャラ達が悩んでいる割には安直に感じる。それは掲載誌の性格と切り離せないのだろう。恋の鞘当てが大宗を占めるギャグテイスト強い蘭世編は、スペクタクルや宇宙みたいな広すぎ大きすぎなスケール感少ない分、超人ぶりというより不出来人間ぶり出す。私が若ければ、そちらの方が等身大感あったろうと思うが、曜子の狂言回し役が少し鼻につく。といって、第二第三部のも逆に余りにかけ離れて見える。
メヴィウスは最初から最後まで話の屈折点となるが、彼女のキャラからではなく、作者の意図が起点に感じて気になる。4.5位。
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